今回は「SYU.HOMME/FEMM」というブランドについて記事を書いていきたいと思います。
あまり馴染みのないブランドですが、私がこれまで紹介してきた「CULLNI」「SHAREEF」「LIBERUM」などと同様、デザイナーの魂が詰まったパッショナブルな存在です。
謎のベールに包まれた「SYU.HOMME/FEMM」の正体を一緒に見ていきましょう!
SYU.HOMME/FEMM(シュウオムフェム)とは?
デザイナー・ブランド概要
ややこしい表記のブランド名ですが、「シュウ・オム・フェム」という読み方が正しいです。
「HOMME」フランス語で「男性」、
「FEMM」は「女性」と同義です。
男性向けのアパレルを展開しているSYU.ですが、意外にも女性のユーザーも多く、性の概念にとらわれないブランドであるため、〝HOMME/FEMM〟という表記を用いているようです。
-DESIGNER-
https://studious.co.jp/shop/t/t1171/より画像引用
SYU.のデザインを手掛けるのはデザイナーの「小野秀人」氏
小野氏は、デザイナー就任以前、プロダンサーとして活動していました。芸能活動を退いた後、かつてのアパレル販売バイトの経験を活かして立ち上げたソックスブランドが成功します。さらにそこで得た知識や財産をつぎ込込み、2015年に生まれたのが、「syu.」2017年に改名し、現在の「SYU.HOMME/FEMM」となったようです。また、2020年には「SEEING」という株式会社を立ち上げ、社長に就任しています。(参考:https://silly.amebahypes.com/posts/1297367/)
-CONCEPT-
優秀な人たちが織りなす、優秀な洋服。
http://www.terroir-shop.com/brand/syu/h18ss06.htmlより引用
I TAKE PRIDE IN MYWORK.-私は私の仕事に誇りを持っている-
一日は短い単位の一生。一生は長い単位の一日。
個々其々にある大切な一時に共に寄り添える様に願いを込めて
「優秀」というのワードが一つキーになっていますが、これは「小野秀人」という氏の実名が起因しています。「優秀な人になってほしい」という、氏の母親がその名前に託した願いをくみ取りブランド名、コンセプトに反映させたようです。
では、「SYU.HOMME/FEMM」がブランドのコンセプトとして掲げる「優秀」とは、いったい何なのでしょうか
良質な生地や仕立てを駆使した「クオリティ」という意味合いもあるでしょうが、どうもそれだけでは
ないと考えいています。
こちらをご覧ください↓
ファッションにおいて、もっともオーソドックスでベーシックなアイテム「シャツ」
滑らかで美しい仕立てを持ち、高級感漂う一着です。
しかし小野氏は、美しく整えられたデザインに留めず、ボタンの位置をずらし、ZIPやポケットなどを追加するなどの「崩し」を用いることで、
フリーダムな作品に変化させています。
これは、小野氏がダンサーとしてその身で感じてきたストリートカルチャーを
デザインに踏襲している結果であると、私は考えます。
しかしそれは、単にプリントや文字などで、表面的に表すのではなく、
その在り方・精神をデザインに落とし込み、作品としているのではないでしょうか
既存のマナー・ルールに従順した、「優等生」ではなく
他と比べ、秀でた何かを持っているという意味の「優秀」と
捉えれば、納得がいきます。
これが、彼らの掲げる「優秀」という言葉に
込めた思いであると私は考えています。
(あくまでも個人的見解です。)
服装のジャンル
前項のコンセプトに関する考察をもとに
私なりに言葉で表すならば
「テーラードストリート」
といった所でしょうか
テイスト的には、「off-white」や「FEAR OF GOD」
を筆頭にした、「ストリートラグジュアリ」に
近しい存在ではありますが、やや意味合いが異なります。
ステータスとしてのトップメゾン
コントラストに用いるためのテーラード
「質」に求める価値観は異なります。
「ストリートテイストのテーラード」
「テーラードテイストのストリート」
根本は違えど、形にしたときに現れる姿は
どちらも同じです。
どちらのスタイルであっても、
「優秀」を目指したいという方
であれば、ジャンルという境界線は
必要ないのかもしれません
商品の価格帯
studiousに収まっているだけあり、価格帯は高めです。
【Tシャツ】 ~1万円程
【トップスやシャツ類】 2~3.5万円前後
【パンツ類】 2.5~3万円程
【ジャケット】 5万円~
【アウター】 6万円~
(あくまでも目安になります)
ミドルプライス枠にぎりぎり収まっている状態で、
ハイブランド一歩手前という金額
勿論希少性やブランディングなどもありますが、
それよりかは、満足の行く服作りを行うために
掛かっているコストの方が多いように感じます。
「良い作品を生み出し、それを手にしてもらいたい」
というのが氏のテーマのようです。
クオリティは高めながらも、提供しやすい
価格を設定していますね!
「SYU.」の魅力
魂の宿るデザイン
前章でお伝えしたように、シュウのデザインの特徴は
デザイナーである小野氏が、体感してきた
ストリートの魂、アーティストの魂が注ぎ込まれたデザインです。
「本来あるべき姿」という自然生成された答えに意味はなく、
まだ見ぬ物、未知との出会いこそがファッションの
本質的な姿ということを気付かせてくれます。
ここで注目してほしいのは、シュウの作品はただ単に「派手」「奇抜」
なのではなく、アパレルとして高いクオリティを維持しているということです。
クオリティを上げ、シャツとしての品の高めたうえで、斬新なテイストミックスさせることで
奇妙ながらもナチュラルなコントラストが生まれているのではないでしょうか。
また、外見から見えるデザイン性だけでなく
作品に触れた本人にのみ、スピリットを
感じ取れるアイテムもあるようです。
https://studious.co.jp/より画像引用
胸部に秘められた、ZIPスリットが象徴となるタンクトップ。
一見しただけでは、そのギミックに気付くものは少なく
ましてやインナーとして着用すれば、決して
認知されることはないでしょう。
見えないところにこそ、こだわりを詰め込む
ひょっとしたらこれは、内なる闘志を秘めた、
ヤングカルチャーを表しているのかもしれません。
「優秀」な職人のクオリティ
「生地が良い」
「仕立てが良い」
これだけ価値のあるブランドにおいて、
もはやそんな説明はするまでもありません。
ただ良いものを生み出すだけでは、
「優秀」には足りません。
こちらは、シュウの展開するジュエリアイテム
どれも、貴金属店で使用されているのと
同質のシルバーやゴールドを使用しています。
なかには10万円を超えるようなものも
海外のハイブランドジュエリにも
引けを取らないクオリティです。
アパレルブランドが、アクセサリを取り扱うことはもはやスタンダードとなっていますが、
ここまで密度の濃い作品を生むブランドは、そうありません。
大半のブランドは、アルミや、チープなシルバーなどを用い、ブランドバリューで価格を
濁しています。
しかしシュウは、物造りに拘る姿勢を崩しません。
コストや手間を掛けてでも、納得のいく作品を
作り上げることを善としているのです。
” I TAKE PRIDE IN MYWORK.”
この不動の精神は、彼らがこれまで手掛けた
作品一点一点に刻み込まれているはずです。
こういった情熱的な姿勢に感化され、
さらに大きな広がりを生み出しているのでしょう。
また、ジュエリーアイテムをリリースした際
小野氏はこのように発言しています。
ウェアが並び、”買ってください” その従来の方法でブランドを表現するのは勿体無い
ファッションの領域では表現できない部分を、空間、洋服、音楽、アートで表現したい
(https://studious.co.jp/shop/t/t1171/ 参考)
(一部略)
この考え方は、非常に共感できます。
ファッションに限らず、芸術というものは
その作品のみでは成り立ちません。
私は、アパレル業と並行して、音楽活動を行っています。
自分で作った作品(楽曲)を披露する際に、音や詩は勿論、照明や舞台演出
があって始めて、作品の魅力を最大の力で伝えることができます。
伝えたいストーリーや、信念を表現するために
演出にも手を入れてく姿は、まさしく職人の技です。
ダンサーとして経験したパフォーマンスや
ステージングが、氏の中の”センス”を高めたのかも
しれませんね!
まとめ
本日は、職人の物造りが光る日本ブランド
「SYU.HOMME/FEMM」のご紹介でした!
あまり見かけないブランドではありますが、
その中には、デザイナーの表現したい
世界観や、ファッションに対する信念
それを体現する、ストイックな精神が
ありました。
ブランドのストーリーを読み解くことで
自分自身の意識や考え方が変わったり、
逆に共感できる哲学に巡り合えることがあります。
デザインや形は、時代によって変わりゆくものですが
情熱や信念というのは、ゆるぎないものです。
ファッションにも、そんな楽しみ方があっても
良いのかと思います。
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